6月24,25日に囲碁の本因坊の第5戦がありました。
結果は井山本因坊の中押し勝ちです。
高尾9段は懸命に頑張りましたが、井山さんが上のようです。
勝敗は井山本因坊の3勝2敗です。4勝した方が勝ちます。
ここから逆転は難しいでしょう。
昨日の日曜日に教育テレビで、テレビアジア早碁選手権がありました。
日本、韓国、中国のテレビ囲碁の優勝、準優勝者が
アジア一位をかけて戦います。
日本は今、アジアでは勝てません。
20年ぐらい前は日本人の連覇が続いてました。
ここ10年くらいは日本人の優勝はありません。
今、23歳の井山裕太が10年前13歳でプロになったばかりの年からです。
井山裕太は5歳で囲碁を覚え、小学2年、3年とNHKの子供囲碁名人戦を
連覇して、天才少年現る、と言われてました。
小学生で一番強い、と本人も思っていたでしょう。
大人たちも蝶よ花よとちやほやしました。
実際、今は賞金だけで1億円を超えているので、大人たちの
思惑も正しかったのでしょう。
本人も少し天狗になっていたそうです。
小学生の時、日本棋院の計らいで、中国棋院の小学生の部みたいな所に
に夏休みだけ参加しました。
そこで井山裕太は中国の巨大な龍の集団を目の当たりにしました。
巨大な国家が国の威信をかけて、子供たちを育てるということを。
共産主義の大国が目標に向かって走って行く怖さを。
10億人から選ばれた地方の天才少年が中央に集められて
現役のプロから鍛えに鍛えに鍛えまくられる。
子供たちは限界ぎりぎりまで、(限界を超えているかもしれません)鍛えられて
それに耐えられなくてつぶれた少年は容赦なく地方に帰らされる。
そんな虎の穴のような養成機関を勝ち抜いてきた少年が
中央に集まっています。
井山裕太は天狗の鼻を折られてしまいました。
負けて負けて負けまくったそうです。
このままでは日本の囲碁はダメになる、少年は肌で感じました。
なぜなら自分より年下の子が自分よりもはるかに強かったから
日本の囲碁はぬるま湯に浸かっている、このままでは日本の囲碁は
アジア最低に落ちてしまう
10歳を超えたばかりの少年は危機感を胸に帰国しました。
日本で一番になっても駄目だ、中国、韓国にに強い人はたくさんいる
世界で一番にならなくては、学べる事からは何でも学ぼうと
その当時、囲碁界の大人たちは、日本が囲碁が弱くなるはずないよ
韓国も中国も汚い碁を打つからさ、とタカをくくっていました。
碁は芸術だから勝てばいいってもんじゃないよ
それから10年間日本は中国、韓国、台湾から馬鹿にされるくらい弱くなりました。
日本が輝かしい勝利を収めていた時代は今から30年くらい前です。
日本の未来が明るいと言われていた時代、
ジャパン アズ ナンバーワン と言われていた時代。
もう一度、日を昇らせるために
この間、囲碁のナショナルチームが発足しました。
井山裕太は本因坊戦の合間をぬって、テレビアジア戦に出場しました。
ナショナルチームの募金も続々と集まっているらしいです。
日本中の囲碁ファンから集まってくる3000円が積み重なって
寄付をしてくれた人の人数や金額が積み重なって
棋士の励みになっているはずです。
テレビ囲碁アジア選手権決勝戦
ここで井山裕太に優勝してほしい、プロ棋士も、ファンもsaiもヒカルもアキラも
そう思ったのでしょう。勝ちたいと井山裕太本人も強くそう思ったはずです。
そして、、見事、、井山裕太は優勝しました。
解説の女流棋士もうれしくてのどを詰まらせていました。
準決勝で敗れた、結城聡 十段も目を真っ赤に腫らしてました。
井山さんの優勝を喜んだ涙ではなく、
自分が負けたことの悔しさ、優勝の場所に自分がいない悔しさ
真っ赤に腫れた目の奥の闘志がギラギラと輝いていました。
日本の囲碁棋士の闘志に火がついたと思います。
囲碁界にとって分岐点となる一日でした。